ほしいギアは、みんなでつくろう。キャンパー待望のポータルサイトが2023年ついに公開! その誕生の舞台裏

2022.12.16

ほしいギアは、みんなでつくろう。キャンパー待望のポータルサイトが2023年ついに公開! その誕生の舞台裏

フィールドに寝転がって見上げる広い空の清々しさ。静かな夜の森で焚き火を囲んで語らう親密なぬくもり。キャンプをすると、自然は私たちの五感を呼び覚まし、素朴で深い体験に導いてくれます。

そんなキャンプに魅了され、「好きなことを存分に楽しみながら人生を味わいたい」という想いから、キャンプにまつわるサービスを展開するCALY Inc.。

自分たち自身が長年求めていたポータルサイト「iihi(いい日)」を開発・公開するにあたり、10年来の友人同士でもある創業者の2人が、その舞台裏からいま描く未来について語りました。

キャンプ好きがいま本当に求めているもの

――ティザーサイト、ついに公開しましたね!(※取材は公開の数時間後に実施)

河西龍太郎(以下、河西)

早速反響をいただいて。 以前キャンプ場で会った人が、インスタグラムで「めちゃめちゃ楽しみにしてます」なんて言葉も添えてシェアしてくれて、すごくうれしいですし励みになりますね。

――では改めて、「iihi」について説明いただけますか?

上野友暉(以下、上野)

iihiは、全国のキャンプ場の情報をまとめたポータルサイトです。Webサイトがなかったり、予約機能のないキャンプ場も含め、日本全国にあるキャンプ場を検索できます。

河西|
「日本全国のキャンプ場を検索したり、テーマを切り口にキャンプ場に出会える」「自分だけのキャンプ場リストがつくれる」「キャンプ場にレビューができて、レビュワー同士情報交換ができる」というのが主な特徴です。
自分と好みが合うキャンパーさん(キャンプをする人)のレビューを見たり質問したり、そんな交流もコメントを通して(*)できるので、コミュニケーションツールでもあり、メモ帳のようでもあり、検索もできる、みんなで情報共有すればするほど育つ「ギア(道具)」の一つになれたらいいなと思っています。

(*)レビューに対するコメント機能は、2023年夏頃アップデート予定です。

――それぞれが気に入っているところは?

河西|
リスト機能ですね。友人からよくおすすめのキャンプ場を聞かれるんですが、パッと思い出せなくて。でも自分のリストがページ化されていればサクッと共有できるし、キャンプ仲間のリストを見て「ここどうだった?」なんて情報収拾もできますよね。

今まで僕はGoogleマップにピンを打ったり、スプレッドシートにまとめたりしていたんです。だからこのリスト機能は、自分自身がはやく使いたい機能。ちなみにこのリストは誰でも見れますが、作成は会員じゃないとできないので、ぜひキャンパーは会員登録してください!(笑)

上野|
僕は、使い心地の良さですかね。iihiをつくるうえで、沢山のキャンパーさんへのインタビューやユーザーテストを繰り返して、使い勝手を良くするために本当に心と時間を尽くしました。たとえば、絞り込みの項目はどんなものがどのくらいの数あればユーザーは満足いくキャンプ場の情報にたどり着けるのかとか、iihiを使う時に何か気になることやストレスがないように設計しています。

iihiのタグラインに「スマホの中のキャンプギア」とあるように、SNSやゲームアプリみたいに日常で気軽に気持ちよく使ってほしいんです。好きなもの見たり考えるのって、楽しいじゃないですか? キャンプ好きな人が、キャンプしていない時でもiihiを見てわくわくしてくれたらうれしいです。

はじまりは、友達に伝えるためのメディア

――キャンプ愛が溢れてますね〜。そもそもふたりは学生時代からの友人とのことで。何がきっかけでキャンプのサービスを手がけるようになったんですか?

河西|
キャンプを始めたのは上野が先で、僕は社会人になってから誘われました。それまでアウトドアには全然興味なかったのに、行ってみたら体験としてすごく良くてハマったんです。

僕も上野もWeb系の仕事をしていたので、この楽しいキャンプってものをみんなに伝えたい! という気持ちから、「CALY MAGAZINE(キャリーマガジン)」というメディアを2016年に始めました。

https://calymagazine.com/

それからしばらく会社で仕事をしながら週末キャンプして記事つくって……という生活をしていたものの、行けば行くほどキャンプがどんどん楽しくなってくるんですね。何も持っていなかったギアも揃ってくるし、いろんな季節のいろんな景色を目にして、いろんな人に出会って話をして。

仕事でもキャンプにもっと関われたらな、と考え始め、上野とも「30年後どうなりたいか」なんて議論をするなかでやっぱりキャンプの事業だとなり、お互い独立して2022年の4月にCALY Inc.を設立しました。

――ちなみに、上野さんが最初に河西さんを誘ったキャンプ場というのは?

上野&河西|
一番星ヴィレッジ! 懐かしいなー。

上野|
ちょうどオープンしたてだったみたいで、夏のハイシーズンなのにその日来場客は全然いなくて雑草の手入れもなかなかで……もちろん今はすごくきれいなところですよ! そういうハプニング的なおもしろさも思い出としてすごくからだに残って、やっぱりキャンプ楽しいなぁとなって。僕はそこからさらにハマって「一人北海道修行」で覚醒しまして。自転車で北海道ほぼ一周したんです。

河西|
逆ルートでね(笑)

上野|
そう、左車線なのに反時計回りしちゃって、反対車線から車越しに海を見続けた北海道一周旅(笑)。そのときは半分野宿、あとはライダーハウスとキャンプ場を回って、鍛えられましたね。

愛と根気とスキルで叶える、キャンプ場検索の課題解決

――いろんなキャンプを経験したんですね。キャンプに関わるサービスのなかでも、「ポータルサイト」というiihiのアイデアに至ったのにはどんな経緯が?

上野|
会社をつくり、さぁどんな事業をしよう? とアイデア出しをした時、自分たちが得意なWebサイト制作やデジタルサービスの領域からキャンプ業界に新しい価値を提案していこう、と方向を定めました。

河西|
キャンパー目線もキャンプ場オーナー目線も、キャンプにまつわるいろんな課題をざーっと書き出したときに、その解決策としてピタッとパズルがはまったのがポータルサイトでした。

一時はキャンプ場を自分たちでやろうなんて話もあって、いずれはやりたい気持ちはありますが、一番しっくりきたのがキャンプ場検索の課題の解決だったんですよね。

――キャンプ場検索における課題、というと?

上野|
たとえば「関東 キャンプ場」なんて検索すると、何かしらの記事にヒットはします。でも、飲食店やホテルなどと比べて、圧倒的にキャンプ場ってバリエーションが少ないんですよ。ピックアップするキャンプ場が似た内容になってしまう。

だから、まだキャンプ行き始めの時はそんなに問題なくても、5-6回目程になると「これ前も見たな」となってしまう。

河西|
Webサイトがしっかりしていたり人気のキャンプ場は、人が集まりすぎて予約できなかったり。キャンプって1泊2日で行く人が多いんですが、大体週末が埋まっちゃうんです。

上野|
他にも、キャンプ場を予約しようと検索すると、「予約機能のあるキャンプ場だけ」がヒットするのも課題のひとつだと思っています。キャンプ場って、Webサイトがないところや、Webサイトはあっても予約システムはなくて電話やメールで申し込むところも依然として多いんです。

キャンパーとしては、そういう予約機能がなくてもすごい絶景のキャンプ場とかめっちゃ行きたいわけですよ。特に僕は絶景好きなんで(笑)。だから、予約機能の有無で表示が左右されない、フラットなポータルサイトがほしかった。

もともと僕は、言葉を少しずつ変えながら地道にワード検索して気になるキャンプ場をリストアップしていました。もしくはGoogleマップで「キャンプ場」と入力して、聞いたことのない名前のキャンプ場をひたすら漁る。

――それはなかなかタフな作業だ。

上野|
でも、そうやって見つけたキャンプ場って大体どこもすごく良いんですよ。例えば、静岡県の南アルプスの麓にある「アプトいちしろキャンプ場」。急勾配を登れる日本で唯一のアプト式列車を望める、とても景色のいいキャンプ場です。奥大井湖上駅というジブリ作品に出てきそうな魅力的なスポットもあって、キャンプ場の運営者さんたちも良い人たちばかりで、めちゃくちゃいいところ。

そんな感動をCALY MAGAZINEで記事にしたら、その記事が検索で上位に出るようになったんですね。

https://calymagazine.com/apto/

それが理由かはわかりませんが、しばらくするとアプトいちしろキャンプ場はすごく人気が出て、それまで時代を感じるニュアンスのWebサイトが、予約機能もついてガラッとリニューアルされて。良いキャンプ場の情報をきちんと発信して検索で見つかる状態にすることは、キャンプ場にとってもキャンパーにとってもうれしいことなんだなと体感した出来事でした。この経験も、iihiをつくるきっかけのひとつかもしれない。

河西
今まさにiihiの開発も終盤ですが、開発初期から今もずっとキャンプ場のデータベースをつくり続けています。さっき上野が言ったような地道な検索を中心に紙媒体も調べて、ロケーションやWiFiの有無など本当に必要な情報も選定しながらリスト化していて。大変ですが発見もあっておもしろいですよ。

根気よく調べて出会ったキャンプ場を、これからキャンプを楽しむ人にも、僕らみたいな未知のキャンプ場に行きたがっているキャンパーにも早くお見せしたいです!

原体験から、自然に溶け込む人を増やす

――以前iihiのアイデアを聞いたとき、「iihiを通してキャンプシーンを盛り上げたい」とよく言っていたのを憶えています。

河西|
そうですね。キャンプに行く人、キャンプが好きな人が増えてほしいなぁ。

上野|
僕もそう思うけど、キャンプ人口の水準を一定にしたい、みたいな感じかも。いまキャンプ業界ってファッションやキャンプ飯といった料理など、いろんな切り口からブームがきていて、でも流行って波がある。この盛り上がり・下がりをできる限りなくすという意味で、キャンプシーンにコミットしたいですね。

どうやら、キャンプ好きな人が家族でキャンプをして、子どもたちが成長すると家族旅行をしなくなりキャンプしなくなって……という具合に波があるようで。

――キャンプ場に行かなくても、キャンプの断片に触れられる機会があったりすると、キャンプ好きなフェーズが途切れなくなるんでしょうかね。ベランダでランタンの灯でごはんを食べるとか、日常のなかにちょっとしたキャンプを取り入れるみたいな。

河西|
そういう自然と触れる心地よさの積み重ねから、「キャンプっていいな」という感覚のスタンダードをつくっていけたらいいですね。

上野|
そもそもCALY Inc.は「自然に溶け込む」というテーマを掲げていて。自然というのは、名詞的に森や海といった対象としてのものと、「自ずから◯◯する」という副詞的なものの二つの意味で、です。

キャンプって一般的に非日常と捉えられがちですが、僕らはむしろ日常に近い存在にしていきたくて。暮らしとキャンプ、仕事とキャンプ……そういう境界線をもっと溶かしていきたい。そういう観点から、iihiがキャンプの原体験をつくるきっかけになって、キャンプが好き! という人が増えたらうれしいな。

共鳴する仲間とおもしろがっていきたい

――iihiの開発チームは、個性的なメンバーが集まっているとか。

河西|
そうそう。エンジニアのSSさんは実はイラストも描く人で、今回コーディングに加え、サイト内のイラストも描いてもらいました。もう一人のエンジニアのハルさんも、何人かでキャンプに行った流れでチームに入ってもらっています!  僕らは普段コワーキングスペースで仕事をしているんですが、クリエイティブ職の人が多く、チームメンバーはみんなその会員仲間なんですよ。

――iihiはこれからが幕開けですが、どんな仲間とiihiを育て、キャンプシーンを盛り上げていきたいですか?

河西|
iihiのサービスに共感して「自分も何か一緒につくりたい!」と思ってくれる人と組んでいきたいですね。その人なりの得意分野もあるだろうから、いい化学反応を起こしたい。

ちなみに、自動車をカスタマイズするためのパーツメーカーのDAMDさんとは、僕らが法人化する前からよくしていただいていて、Webメディアやタブロイドの制作でご一緒したり、先日イベント出展でも同伴の機会をいただいて。共鳴する人とこうしてコラボレーションしていけるのはうれしいですね。

https://www.damd.co.jp/journal/

上野|
僕らはWebを中心にデザインの仕事をしていますが、デザインって幅広い。意匠の美しさや機能美といったさまざまな観点があるし、僕らのようなグラフィカルなものだけじゃなく、プロダクトや建築といったものをつくる人もいる。そういう、デザインという領域でも畑違いの人とかおもしろそうだなぁ。

僕、いつかはデザインの観点にフォーカスしたキャンプ場を企画してみたいんですよ。世界観をつくりこみ、自然への配慮はもちろんキャンパーの体験をきちんと設計したもの。そういうことをおもしろがってくれる人と出会えたらうれしいですね。

河西|
iihiもその先につくるかもしれないサービスも、いろんな人と出会い楽しみながらつくっていきたいですね。

写真=村上大輔
聞き手・文=原口さとみ

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